SORA　と　奥田

　日本のテレビ「情熱大陸」で取り上げたらしい。
　そこでパリでも名を上げて、予約の取りにくい日本食レストランになった。「Sola」というレストランだ。
　ノートルダム寺院の対岸、セーヌ川沿いのモンテベローから少し入った所にある。地下鉄ならサンミッシェルから近い。
　一階はやや普通、地下がセーヌ左岸にあるワイン蔵風の昔作り、石を積んで楕円の切り口の天井となり、大きな地下壕のようになっている。そこに床を上げ、こたつ風なつくりに工夫してある。足を入れて座れるので、パリジャンも疲れない。
　料理はいかにもの日本人、仕事がこまかい、最近東京にもある小さい料理が次々とでてくる。料理の組み立てにダイナミックな印象は皆無。日本人の神経質な面ばかりがでていてあまり感心することはなかった。
　それに引き比べ「ガイアの夜明け」に登場した「奥田」は凄かった。数寄屋作りの職人つまり大工、建具や、左官屋のすべてを日本から連れてきて完璧な数寄屋風懐石料理屋を作り上げた。
　「たから」に始まった日本食店は沢山あるが、どれも適当なところで現地に妥協している。つまりナンチャッテ日本料理屋しかできない。
　が奥田でも、水回りと電気だけは現地職人を使わないと許可がとれない。そこでパリの職人に頼ったが、お蔭様で開店予定は大幅に遅れたとぼやいていた。モンテニュー通りというパリ有数の高級な通りにも近く、地の利は最高だ。銀座の奥田はパリの奥田になった。
「奥田」の料理「奥田」のうつわ「奥田」のサービス、すべてハイレベルで日本で食事をしているような気分を味わったが、フィガロ紙には「フジヤマのような高いお値段」と書かれた。