Pharmacy は薬屋にあらず。

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 今の中学校では、なんと教えているか知らないが、僕らの頃は「pharmacy」といえば、薬屋、薬局のことと決まっていた。ところがニューヨークでは全く違う。
 遅い時間のブロードウェイがはねて、ぶらぶらと帰ってくる。小腹が空いて何処かで軽い食事などとりたいがどうも適当な店が見当たらない。ドサンコなるらーめんやや、メキシカン・フードの怪しげな照明の店などはあいているが、いまいち入ろうという気にならない。
 ホテルに帰ってルームサービスという手もあるがそれも面白くない。そんな時意外に役に立つのが街角にコウコウと電気のついた「pharmacy」。
 店に入ってまず目に付くのは、丸い大きな冷房ディスプレイ。コンビニの弁当コーナーのアイランド形式のものだ。お約束のハンバーガー、肉と野菜のサンドウィッチ、サラダ類、スープ、炒飯、寿司など国籍を問わずひととおりの軽食が揃っている。奥にいけば原色あざやかなケーキ類、アイスクリーム、など。さらに歯ブラシ歯磨き粉、石鹸、パンツ、ブラ、ショーツ、シャツ、ジーンズ、ティシャツ、スニーカー、化粧品、マニィキュア・セット、特大サイズの生理用品、水、ビールに至る大抵のものがそろっている。勿論カストリ雑誌、女性ダイエット誌もあるし、深夜テレビでやっている如何にもの健康器具まで置いてある。
 とりあえず美味そうに見えるサンドイツチを買い、美人満載のザ・モデルなる雑誌を手にし、そうだ誕生祝のカードなどを選んでpharmacyをでる。カードは180キロ級のおばさんのカートを押してお買いものなどというダイナミックで楽しいものがある。こうしたカードは五番街の由緒正しいカード・ショツプには絶対にない。Pharmacyは小市民に寄り添った便利屋さんなのだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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