社交ダンスが空前のブームを呼んでいるらしい。
ダンスホールもないし、社交を第一とするパーティもあまり聞かない。
なのに社交ダンスがブームとは、不思議大好きなこの国らしい。
芸能人と呼ばれる卑しい人々が妙に真剣な顔付で社交ダンスに挑んでいる。やらせとしか見えない入賞の栄にむせび泣くお笑い。透けて見えるのは、社交ダンス業界の宣伝と、制作費削減のテレビ局の思惑、ネタのない即席芸人のつなぎのダンス演芸、ついでにテレビに映りさえすれば嬉しいオバカなマニア達か。
ディナー、プログラム付のSS席3万7000円はプレミアがついて入手困難、社交ダンス選手権で一目でも憧れのあの先生が見たい、というオバサン達の欲求はかってのヨンサマを超えているという。お目当ての先生につぎこんだ費用がマンション一軒分と、宝塚のスキャンダルがそのまま社交ダンスの世界だときいた。
ダンス教室恒例の年末パーティで憧れの先生と踊れるデモンストレーションでは、3分一曲でウン十万の御礼にドレスを新調して50万、〆て100万のかかりは最低ということだ。
ポマードで固めたような不思議なヘアスタイルにスパンコールのタキシードという先生は、時代とずれていればずれている程、お金持ちのシルバーおばさんが贔屓につくそうだ。最近流行の服装はシースルーの王子様ブラウスで、マッチヨな魅力を発散させたトップに、レギンスのようなもっこりの細いパンツ。
イギリスのようにクラス社会が明確に存在しているダンス競技は、あくまで社交のための副産物だが、日本のような曖昧な平等社会では、欲求不満なシルバー層のはけ口であり、出会いのお狩場と言われる。
広いホールを持っているホテルでは、ダンス教室の営業こそ最大の標的とされている。
社交がなくても社交ダンスに興奮する
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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