ケネディとモンローとキャロラインと

　キャロライン・ケネディ駐日大使が、いま異常な人気を呼んでいる。
　アメリカのロイヤル・ファミリーから日本に使わされた天使のごとき扱いである。
　若くして暗殺されたジョン・F・ケネディ元大統領への盲目的人気がその背景にあるが、アイルランド系移民であるケネディ家の闇について、マスコミを始め一般国民はなにも考えないという事実が、その背景にある。
　ケネディ家の系図を開いてみれば判ることだが、その半分は不幸、または予期せぬ事故で亡くなっている。飛行機爆発、自動車事故、橋からの転落、ロボトミー手術の失敗、右足切断、麻薬死亡、死産、暗殺、暗殺…慄然とする事実がずらりと並んでいる。「呪われたケネディ家」と噂される所以だ。
　ジョン・F・ケネディの大統領としての評価も、アメリカではB級大統領という認識で共通している。
　判っているだけでも30人に及ぶ愛人をもち、ニューヨーク・カーライル・ホテルのペント・ハウスにおけるマリリン・モンローとの交歓は周知のことだ。マジソン・スクエァ・ガーデンのケネディ45才の誕生パーティで、お色気たっぷりに熱唱した「…ハピー・バースディ・大統領」のマリリンへ「…これで何時引退しても悔いはない」と答えたケネディの遊び人ぶりが読み取れる。
　マリリンはケネディと結婚を願い、ジャクリーンに直接電話を掛け「夫をゆずれ」と強談判、ジャクリーンも承諾していたと伝えられる三角関係だったが、弟ロバート・ケネディとの更なる不倫がばれるに及び、結局マリリンはC.I.Aの手により殺された、というのが定説になつている。バルビタールと包水クロラールを調合した座薬によつてマリリンは始末された。
　荒涼としたヘイト・シティ　ダラスの教科書倉庫からの銃弾でケネディは斃れたが、娘のキャロラインが日本での在任中、なにごともなく無事に過ごせることを祈っている。