ポチャ子ブームは都市伝説か

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  インクの乾いていない台本を前に、さてこのドラマのプリマは誰にすべきか随分悩んだ。ヒロイン役はあたりまえのごとく人気のある美女、カリスマ性のある美しい人がいいにきまっている。
 加賀まりこさんを始め、十朱幸代、星由里子、草笛光子さんなど随分いろいろの女優さんに助けられた。
が友達AまたはBには太った女優を配役した。仲間のなかに一人デブがいると、リアリティがでて、ドラマが膨らみ、とても貴重な戦力になった。
 こうしたデブのことを、近頃は「ポチャ」というらしい。デブというとセクハラと非難される。ポチャは今「もてポチャ」と囃され、ポチャ子のためのオシャレ講座、日本初のぽっちゃりファッション誌まで登場した。噂では「ポチャ・キャバ」というのもあるらしい。
 表紙はあの渡辺直美、柳原加奈子はいいが渡辺直美はどうも、という殿方もいるが、決してふたりとも自己管理のできないただの大食いではなさそうだ。仕事が忙しいのに良くここまで太れたな、自制できません、我慢できません、怠け者ですって、体見りゃ分かる、恥ずかしくないのか、ともいいたいが、ポッチャリは何をしても可愛いし、愛されるべきキャラクターというのも真実のような気がする。
 雑誌には、「パンツ履きくらべ対決・2L・3L・4L のびのいいWのゴムがしっかりしているか」などという特集もあり、L から10L までのレディス・アパレルSMILE Land とのコラボファッション・ショーなども用意されている。 デブが自信をもち社会の中枢で活躍してくれるのは、とても嬉しいが、清潔感のないデブは論外だし、体重の乱れは人間性の乱れにも通じるので、くれぐれも心して太っていて欲しい。
 信用してはいけない女のセリフに、「第三位 可愛い子紹介するわ」 「第二位 少しポッチャリなの」「第一位 今日大丈夫だから」…?
 珍獣的な可愛さだけでなく、肌の綺麗な暖かさのいっぱいつまった、笑顔のボチャコには薔薇の花を献じたい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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