ようやく五輪東京開催が決まった。
お目出度いことだが、大騒ぎのなかで少しばかり気になることもある。
まず第一はIOC総会に於ける安倍首相の演説である。
福島原発の汚染水について、各国でいろいろの議論をしているが、あの汚染水は全く心配いりません、福島では四方を囲んで汚染水を漏れなくしています、と断言していた。何時の間にそんなものを作ったのか国民は全く知らない。凍土壁を作ってなんとかしなければ、という話は聞くが、3.11以来ダダ漏れですでに海洋汚染はかなり進んでいるのでは…原発事故についての虚言を世界に向かって発したのではないか。
一国の首相たるもの原発事故のウソを世界に発信していいのか。これでは日本は、五輪獲得に狂奔して汚染水はほおったままだ、と非難されても致し方ない。
第二はすべて五輪ありきのとんでもない議論だ。
脳みそが腐っている。 スポーツ・ライターのボス玉木正之が、テレビでこんな発言をしていた。
これで一気にスポーツの産業化が図れる、というのだ。とくにメイン会場となる新国立競技場には、スポーツ・グッズのショッピング・センターから、ゲームセンターまで併設され、素晴らしい施設ができる、と豪語していたが、とんでもないことだ。
このうえスポーツを商業化してしまっては、堕落の谷を転げ落ちるようなもの、本当のスポーツ愛好家ならば、アマチュア・スポーツのシンボルとして、五輪の純潔を守ろうとするのではないか。著名な評論家まで、スポーツの商業化を賛美するようでは本当に情けない。
アメリカ・ロスに始まった五輪堕落の先頭に立って、さらにスポーツの娯楽化、商業化に手を貸すことは、スポーツの歴史に唾することになる。
五輪東京開催を機にスポーツは王道に回帰した、と後世から評価されるような姿勢であって欲しい。
五輪と嘘と商売と
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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