ビデオ・マッピング VS デジタル掛軸

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 いまルーアン大聖堂をキャンパスにした「光のカテドラル」というライト・イベントが開かれている。
 大聖堂の建築物そのものを舞台にした映像のショウだ。
 ヨーロッパには半世紀まえから、歴史遺跡や教会を舞台にした音と光のショウがあった。アテネのアクロポリスと向かい合った丘の上から見た古代ギリシャの歴史ものがたりは圧巻だった。
 そうしたイルミナシオンのショーが、ここ20年程前からデジタル映像を駆使した豪華絢爛のライト・ショーになった。ビデオ・マッピングとかプロジェクション・マッピングと呼んでいる。鮮やかな色彩が夜の闇に浮かんで、圧倒的な幻想美のなかで物語が進行する。
 ルーアンはジャンヌ・ダルク処刑の地でもあるので、「私はジャンヌ」というルーアンの女性数百人によるメーセージとともに、印象派フェスティバルをテーマにしたアート・ショーが上演されている。
 日本でも成蹊学園、東京駅、増上寺などでプロジェクション・マツピングは試みられたが、残念なことにその場限りの上演におわっている。
 何十年来の友人である小松の長谷川章さんも、孤軍奮闘され最近では横浜赤れんが倉庫や、護国寺、信州松本城等で「d-k デジタル掛軸」の名称のもとに光のショウを試みている。フランスなら直ちに50%のお国の助成があるが、この国では望むべきもない。幸い長谷川さんは、いくつかの企業の応援をえているのでデジタル掛軸運動も可能と思うが、恒常的に上演するところまではいかない。
 ルーアンでは、今後数年に渡って、夏の夜の10時半から上演する予定とか。一億の映像制作費も容易に回収がつくというから羨ましい。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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