「自由の女神」買いませんか？

　フランス財務省はこのほど、セーヌ河に浮かぶ白鳥の小路の「自由の女神」を競売に出した。　　国家予算の赤字補てんのためだそうだ。
　「自由の女神」といえば、だれでもニューヨーク・バッテリー・パークにある女神像を思い出すが、アメリカ独立１００周年を祝って、１８７６年にフランスから寄贈されたものだ。
　その答礼として、１８８９年　フランス革命１００年の年、アメリカ人によって建てられたのが、セーヌの「自由の女神」、この神様そもそもはギリシャ神話に登場するリベリスタという女神さまだが、作者フレデリック・パルコルディによって作られた自由の女神の原型は、パリ・リュクサンブール公園の森の中に建っているので、いまさらいらないということか。
　フランス人のアメリカ嫌いは徹底しているので、アメリカ人のくれたものなどさっさと始末したほうがいいということかもしれない。この競売に誰も異論をとなえなかったというのが素晴らしい。
　世界中でもっとも多いアート・レプリカは、ミロのヴィーナスと自由の女神と言われているが、日本国もご他聞に洩れない。
　お台場の海浜公園には、高さ１１メートル９トンのブロンズの「自由の女神」、青森おいらせには、ニューヨークと同じ緯度４０度４０分にこだわった四分の一の「自由の女神」、軽井沢の奥の遊園地にも何故か「自由の女神」が建っていた。
　戦前までこの国の彫像は、圧倒的に「二宮金次郎」だったが、「無理して勉強しなくとも外国へ留学させたらいいのよ」というバカ親たちのお蔭で、「二宮金次郎」は何処かへ行ってしまった。学力低下を嘆くまえに、「二宮金次郎」の行方を探したほうがいいかもしれない。