ママ達のカースト

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 ママ達のカーストが激しいとあった。
 ヒンズー教徒ならその宿命を受け止めるしかないが、仏教徒にして仏教徒に非ず、キリスト信者にしてキリスト教徒にあらず、宗教にゆるいこの国のママ達のあいだに、カーストがあるというのは不思議なことだ。
 ついこの間まで「士・農・工・商」というカーストがあったが、第二次世界大戦の敗北とともに雲散霧消した。その上、アメリカによつて民主社会はすべて自由平等だという偽善にみちた幻想を植え付けられ、半世紀たったいまこの国の若者は世界中で恥をかいている。自分のクラスについての認識がないため、相手を正確に認識できない。クラスの違いによつて、付き合いのルールを変えることが出来ない。
 インドのカースト制度は宗教上の理由により5000年もつづいているが、アメリカのカラーや貧富によるクラス・カースト、ヨーロッパにおけるキゾク・カーストは厳然と存在している。それによって付き合い方、食事のルール、すべてが異なる、ということを知らない。留学させた子女が、現地で恋に陥り、連れて帰る相手は圧倒的に最下層に属する異国人という例が多い。
 こう考えてみると、旦那の職業、収入、車、ブランド品、持ち家などで決まるママ・カーストなど、ただの女の嫉妬にしか見えない。親たちのステータスは子供のポジションに反映し、スクールカーストに及ぶといわれる。安っぽいママカーストによつて傷つきやすい子供達がのっぴきならないところに追い込まれ、思わぬ事故を起こすかもしれない。
 アメリカのコロンバイン高校乱射事件は、アメリカ社会に深く根ずいているカーストに原因があるといわれている。日本のママ達は、一刻も早くカースト・ゴッコなど止めるべきでは…。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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