数人のひとから質問を受けた。
「先日TBSの情熱大陸という番組を観たんですが…あの茶人はそんなに偉い人なんですか?」
「はっ?」
「官休庵千宗屋家元後継とかいてありました。利休を超えた現代の茶人とか、いってましたけど…」
「…利休を超えた茶人とは、聞き捨てなりませんね。」
「私達が習ったお茶には、あんなに下品な振るまいはなかったし、言葉づかいももう少しちゃんと
していたのですが、今のお茶ってあんなもんなんですか?」
「いや、そんなことはないでしょう。わび、さびを超えた…利休を超えた茶人、それは真っ赤な嘘です。
自らに大をつけて、利休直系の裏千家大宗匠と称しているひともいますが、さすがに利休を超えた
大茶人とはいってません。」
「そうですか。テレビに映っていると、私たち素人はつい本気にしてしまいます。」
テレビというのは、無責任かつデタラメな部分があって、あの番組も20以上の制作会社、つまり下請けプロダクションがたらい回しで作り、毎日放送とTBSのチェックをうけたのち放映される建前なのですが、何十人もいるプロデューサーも演出も全く無知で、ナレーターの窪田等にもっともらしくしゃべらせているんでしょう。今のテレビは番組宣伝にかんしてはまったく破廉恥ですから、だからテレビを信じてはいけません。何年か前、狂言和泉元弥のときも、狂言界から追放され正式の能舞台に出演できないにもかかわらず、テレビだけは狂言家元として使い続けた前科があります。伝統芸能や歴史をあつかった民放番組はまず疑ってかかったほうが安全です。その点ではNHKの教育のほうがましですね。
情熱大陸のデタラメぶり
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プロフィール

星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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