セクシー踊り子さんへの祝儀の渡し方について

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 宴会の余興に「セクシー田中さん」または「セクシー・フィリッピン娘さん達」を呼んで楽しむということはそんなに珍しいことではない。
 多分ホテルの用意されたメニューに、カラオケ用の田舎バンドや手品、歌謡曲、下手な司会とともに、どうぞお好きなメニューをお選びくださいと、セクシー・ダンスも印刷されていたのだろう。

 この場合まずかったのは、自分たちは「天下の政治家」だ、ということを忘れていたことだ。それもこの国の最高権力の座にある「自由民主党」の明日を担う若手政治家の立場が、ホテルとの打ち合わせの際、つい頭のすみから抜け落ちていた。
 男どもは本当にショウガナイと笑って済ますのはパリジェンヌだが、絶対に許してくれないのが日本の女性たち、人種差別とか職業差別とか近頃はジェンダー意識に欠けるとか、話はどんどんややこしくなる。言い訳するほうも「多様性の研究」とか変な理屈をもちだし、つい男の愚かなとこでとはいわない。建前ばかりで、本音の通らない後進国では仕方のないことなのだろう。

 その後がよろしくない。口渡しで千円札の何枚かを「セクシー・ダンス」さんに渡したというのだ。
 この国には昔から「御祝儀」という習慣があり、「ご祝儀袋」のいろいろが巷に売られている。ハダカの金品をわたすのは失礼、という文化が存在する。感謝したければご祝儀袋に入れてそっと渡すというのがこの国の風習なのだ。
 下品なキャバレーなどでは、ヒモパンに挟んで渡すなどという、セクシーこの上ない渡し方もあるが、やはり政治家には似合わない。
 書き忘れたが、千円札ならご祝儀袋ではない。この場合は「ポチ袋」である。祝儀にも階級がある。
 千円札の祝儀では折角だしてもバカにされ、軽蔑される。ホテルでのパーティなら「万札の祝儀」が常識と心得なければならない。国家天下の政治を志す自民党青年部の議員さんなら、そのくらいのことは常識と心得よ、である。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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