藤村の書に大好きな「簡素」というのがある。書というより座右の銘というべきかもしれない。簡素を英訳すれば、シンプルということでもあり、シンプルなライフスタイルこそ今のこの国にとっては重要なキーワードだろう。ファションにおいても、加飾であるよりはシンプルがいい。
ついこの間までEUにおけるギリシャの経済破たんが話題となり、株価が乱高下していたが、2、3日まえには、アメリカのドル不安が伝えられ、円が急上昇した。どこもかしこも金がないという話が中心になっている。
金がなければ、節約に励みシンプルに暮らす、というのが庶民の道理だが、そういかないのが資本主義の困ったところだ。
被災地復興に金がない。放射能汚染から抜け出すのには、途方もない時間と金がかかる。そうした現実をまえに、一方では「リニア中央新幹線建設計画」なるものが、すすんでいる。
長野県を抜けて行くのだが南信飯田の方に駅ができるとあっては、100年後にやっと生きてくるのかもしれない。東京、名古屋、大阪といった大都市だけのための計画。相も変わらず東大の御用教授が答申案を造っている。「東海道新幹線の輸送能力が限界に近い。したがってバイパスとして、リニア中央新幹線が必要である。」というのだが、現在東海道新幹線の利用率は昨年で55.6%、ほとんど半分たらず、席はガラガラになっている。コダマにいたっては空気を運んでいる。さらに人口は減るということが分かっていて、莫大な金をかけて建設する必要がどこにあるのか。一時凍結して、被災地復興にその金をまわしたら如何とも思うが、そんなことを云ったら土建プロジェクトが困るので馬鹿扱いされるのだろうか。
時速500キロで東京・大阪間を走っても少しも有難くない。さらにⅠ列車で3.5万㌔ワットの電力をくうとあっては、エネルギー効率が悪い典型なのだ。この非常時に政治家はなぜこの計画を止めないのか。リニア新幹線は、餓死寸前にダイヤを買うがごとき愚行としか思えない。
餓死寸前のダイヤモンド。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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