発売直前の男性用ピルが、世界の二大勢力から挟み撃ちにあっている。
ひとつは国際的イスラム組織ヒズブ・タフリール「避妊は欧米先進国によって入念に計画された大量虐殺の企てである」と宣言、貧困層に基盤をもつ彼らにとってもっともな主張なのかもしれない。
もうひとつは、国際的な医薬品シンジケート、すでに女性用ピルは安定的な市場を確立しているし、コンドームも多種多様な商品が開発されている、なにをいまさら男性用ピルかということのようだ。
医薬品ビジネスの立場からは、「利潤追求の観点からすれば、悪夢のようなアイディアだ」「利潤追求の課題と、社会のニーズはかならずしも一致しない」と嫌われている。
男性用ピル発売の発火点となったインドネシア、ニューギニアに住む原住民の間では、昔から「ガンダルサ」と呼ばれる不思議の木の効用は知られていた。ガンダルサの葉をかむ男の妻は妊娠しないといわれていた。そこに眼をつけた現地メーカーと人口抑制をなによりの課題とするインドネシア政府のプロジェクトが成功した。欧米の製薬大手が何十年も果たせなかった夢、男性用経口避妊薬の開発をなしとげたのだ。
1988年にガンダルサの分析が始められ、90年代に動物実験と臨床試験、そして07年にガンダルサからの合成薬特許を取得した。この新薬は、卵子の膜を攻撃する精子からの酵素の働きを鈍化させることで避妊効果を発揮するそうだが、かくてますます男たちは植物化し、中性化して、女性たちの庇護のもとに生きるしか方法がなくなってしまうのかもしれない。
メーカーからのシビレ薬の効いているこの国の厚生省は意地悪をして、なかなかに発売させないかもしれない。
男性用ピルへの世界的村八分。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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