渥美清、西田敏行…いずれも容貌が優れているとは言い難い。何処から見ても不細工で、むさ苦しく田舎くさく、プロポーションなどという物差しにはほど遠い。が飾り気のない素朴で朴訥な人間的魅力にあふれている。「じゃがいもみたいな人」は、だれもがいい人なんだろうな、と感じる。
福島出身の西田さんなどは、東北人そのものの魅力に溢れている。流されてしまった自分の家をかえりみることなく、大声も上げず、ただもくもくと廃墟の跡かたずけをしている震災の男達にも東北人の気骨がみえる。じゃがいもの魅力がいっぱいだ。
お得意の料理は?「肉じゃがよ」という答えが返ってくると、あゝこの人はいい奥さんになりそうだと思うし、「ビーフストロガノフ」という答えには、ややこしい人だなと感じいい奥さんにはなれそうもないだろうなと思う。
どういうわけかスマートなものに不実を感じ、不格好なものに誠実さを感じてしまうのは僕だけだろうか。肉じゃがのじゃがいもも、カレーのじゃがいもも、ポテトサラダのじゃがいもも、みんな煮崩れていてさらに魅力を増す。フライドポテト、マッシュドポテト、ポテトチップス、六本木の事務所では、いつもじゃがいものコロッケをどっさりと手土産に現れたスタッフも懐かしい。大学一年の夏、初めての北海道旅行でホテルで出された朝のジャガバターの美味かったこと。あの時男爵という不思議な名前を覚えた。じゃがいもの印象は人間から食べ物まで善意と誠実さにあふれている。
世界四大作物とは、米、麦、トーモロコシ、じゃがいもだが、インカ帝国のむかしからじゃがいもは主食をつとめ、江戸のころ飢饉のときはお助け芋と呼ばれて暮らしを助けてくれた。近頃はジャガイモ焼酎に化けて、若い女性にもてている。
じゃがいも系の男達。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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