ダイアナさんのスキャンダルで一躍名をはせたホテル・リッツ、その横にあるカンボン通り、そこにシャネル本店がある。1910年初めてシャネルが帽子屋をひらいたカンボン通り21番地、11年後始めてブティックを持ったのもカンボン通り31番地、以来この通りはファッションの聖地となった。デザイナーを目指す若者たちはみな憧れと尊敬の眼差しでカンボン通りへ行く。本店にはシーズンのテーマ作品がひかえめに飾られ、バッグの部屋、アクセサリーの部屋、コスメの部屋、そして洋服の部屋など充実のシャネル・ラインに出会う。
本店をあとにして通りに出た途端、全身が凍りつく。生前のシャネルのコレクションには絶対に登場しなかったウェディング・ドレス、そこにはシャネルの人生観が強烈に投影しているのだが、そのウェディングのディスプレイが道をへだてた正面にこれ見よがしにある。よく見ると日本のデザイナーだ。パリの有名デザイナーはみなこの通りは遠慮してあらかたフォーブル・サントノーレに店を出す。物知らずなのか、破廉恥なのか、ブラック・ユーモアなのか知らないが、この日本の自称ブライダル・デザイナーは充分に日本人の恥を輸出している。
カンボン通りのブラック・ユーモア
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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