パリのトイレはジャンボ・ロール

by

in

 何処に行っても60メートルのロールペーパー、これが日本。パリのレストランでは、一気に700メートルのジャンボ・ロールとなる。小さなロールをこまめに取り替えるより、30センチの大きなロールを取り替えるほうが手間も助かり、大いに合理的でもある。その上ステンレスの容器は無料レンタル、鍵がかかるのでイタズラ防止になる。おばさんがペーパー泥棒したくても不可能だし、若い子の便器への投げ込みも防止できる。その上信じがたいことだが、よほど気に入らないことでもあったのかままロール・ペーパーに小便をかける輩があるそうだ。密閉式のホルダーではそれもかなわない。エスカルゴと呼ばれた昔のパリのトイレは強烈な臭気を発していたが、いまではサニゼットとよばれる清潔な個室になった。それでもパリッ子たちはエスカルゴとよび、水洗トイレの元祖はパリだとばかり、モンマルトルの墓地のトイレは未だに200年前そのまま、個室の床全面の陶器に、靴のおける二つの島、用が済んだら、ぶらさがっている紐をひくと四方からドドッと水が噴出し、汚物を流す。注意深くつま先立ちをしないと靴もズボンも汚物まみれになるという歴史体験が可能な世界遺産都市である。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ