シャンゼリゼの大通り、エッフェル塔の公園、オスマンの大通り、サクレ・クールの丘、どこへいってもリラの花の甘い香りに包まれていた。日本では「すみれの花咲く頃」と題し、宝塚歌劇のテーマ・ソングと信じている人々もいるが、この歌は昭和3年オーストリアで生まれ、あくる年カジノ・ド・パリのレビューで唄われ大ヒットしたパリの流行歌だ。「白いリラの花咲く頃」は「すみれの花咲く頃」に変身し、「繰り返しささやく甘い言葉、あえなく娘は恋におちる」の元歌は「春の夢甘き恋、人の心よわす」と替わった。ここ数年春と共に、杉と落葉松の花粉に悩まされているが、巴里のあのリラの花粉は「愛する人のほか何も見えない、白いリラの花咲く頃」なのだ。リラの花に追い討ちをかけるのが、すずらんの花。5月1日はすずらん祭の日、大切なひとにすずらんの花束を贈り幸せの訪れを願う、告白ならば花束に香水をそえて差し出す。彼女が心ゆるせばアンブラッセを返し抱しめてくれる。この日パリの町中、少年少女によってすずらんの花束がうられ、人々にシアワセが訪れる。かどの菓子やにもこの日すずらんの味のマカロンが並ぶ。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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