B-1グランプリ頂上決戦!

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 B-1といっても車のことではない。この場合のBはB級ご当地グルメのBのようだ。5年前町おこしをかねて、青森の八戸で始まったのが「B-1グランプリ」。第一回は10の屋台に17000人の来客だったそうだが、今年第五回の厚木では、46のブースに300000人の来客を想定するイベントに成長した。入賞するメニューは圧倒的にめん類が強く、ついで肉系のようだ。今年から審査対象外で殿堂入りしたグランプリの常連「富士宮やきそば」などは市内数十ヵ所の提供そばやレストランのほか、お宮横丁にはアンテナショップまでもっている。公式ガイドブックを作り、「富士宮やきそば学会」がすべてをコントロールするという徹底ぶりなのだ。全国に多々ある「やきそば」が挑戦してもかなわない。やきそばの味付けはソース、醤油、塩とあるが、最近の辛いブームから塩系がこれから伸びるのではないか、とも言われている。オホーツク北見塩やきそば、岩槻ねぎの塩やきそば、などすでに実力あるご当地メニューになっている。
 やきそばには、夏の夜の縁日の思い出がある。浴衣と金魚すくいとやきそばはかならずの風景だった。いまでもお祭りにいくと、しらずしらずのうちにやきそばを探す。連れ立った友に「いま、お腹空いてないから…」と断られるとがっかりする。やきそばは食欲の対象ではない。奉納する少女たちの巫女舞とともに祭事の一部なのだ。やきそばの匂いが境内にただよつてこそのお祭り、焼きそばを食べずに恋愛成就など祈願しても、神様は横を向いている。普段は十字架をくびに下げ、どこの教会で挙式しようかとなどと、不埒な信者であることは神様は御見通しなのだ。さてことしのB-1グランプリはたして肉系が勝つか、それともそば系の勝利となるか楽しみである。軽井沢でもご当地グルメをめざして、「三笠ホテルのカレー」というB級プロジェクトが立ち上げられているが、三笠ホテルと聞いた途端、A級グルメへのコンプレックスがあからさまで、B級へのストレートな想いが伝わってこない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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