ANA全日空が、格安航空LCCの設立を発表した。中東、イラン、イラク、アフガン紛争と続いて石油価格が安定せず、世界中のフラッグ・キャリアが赤字に陥り、倒産があいついだ。これを救ったのが、LCCと呼ばれる格安航空会社だ。LCCはシステムを簡素化しサービスをカツトして、徹底的に経費の削減をはかる。航空券の安さは大歓迎であり有難い、がユーザーもそれなりの覚悟が必要なのだ。
そこでLCC利用のシュミレーションをしてみた。まずチケットの入手はインターネットからの直接購入。旅行代理店に販売手数料を払いたくないのでネット販売が中心になる。この場合体重が人並以上の方は要注意、オーバー料金を取られる場合もある。もつと重要なことは座席指定を廃し全席自由となっている。空港に行く、カウンターが見当たらない。いくつかのLCCが集まって共同で使用しているので、専用カウンターはなく、時間によってA社BラインC社と顔が変わる。いざ出発となれば、バスで空港内を走り沖止めとなっている飛行機の側まで行く。高価なボーディング・ブリッジは使用せず、むかしながらのタラップで機中の人となるのだが、搭乗口で見覚えのある人に出会う。そうだ、さつき受付カウンターで荷物料金を徴収していたオネェサンだ。彼女はカウンターのシゴトが終わると、急いで飛行機に走りキャビン・アテンダントの制服に着替えてお客様のお迎えをしていたのだ。可哀そうなのは、制服も靴もバッグもみな有料、自前で買い取らなければならない。私CAだからなどというタカピーな待遇はどこにも見当たらず、かっての人気職業は夢ものがたり。窮屈な席に座るとやがてメニューがくばられる。「はい、おにぎりとラーメンでごさいますね。850円いただきます。お茶は150円になつております。」「トイレ使用料は小が300円、大が500円でございます。」「申し訳ありません。新聞雑誌と毛布のご用意はございませんので、…」「ただいまご搭乗記念グツズを販売しております、ワゴンがお席まで伺いますので、なにとぞお買い求めください。」乗客は席にしばられ、エサも与えず、土産を買えという、そうとうに覚悟の旅を要求される。かくて上海まで4000円というシアワセのLCCが、実現されるのだ。
LCC格安航空の乗りかた。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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