あんぱんは懐かしい。あんぱんの甘さには昔がある。エクレアより、シヨートケーキより、なによりも日本の甘さがある。恋人ではなく、母でもなく、おばあちゃんの暖かい甘さがある。遠足のリュックの底でつぶれていたあのあんぱんにもう一度逢いたい。
明治天皇が向島水戸屋敷お花見の折、始めて食べた木村やのあんぱんには吉野山から取り寄せた八重桜の花の塩漬けが埋め込まれていた。時に明治8年4月4日、以来木村やの桜あんぱんは名品となった。みかけは西洋でも、なかみは日本、当時の流行語「和魂洋才」にぴったりのパンとして人気爆発、断髪、洋装、肉食につぐエースとなった。侍から庶民となりパンヤをはじめた初代木村安兵衛の想いはアンパンに実を結んだ。アンパンマンの漫画は世界に進出したが、あんぱんはどれだけ認知されているのだろう。4月4日をあんぱんの日として、日本中のコンビニが突如レジの前にアンパンのあれこれを並べて大売り出しをしているが、日本のスイーツとして世界にアンパンを輸出したら以外にいけるのではないか。ふとらない桜の国のヘルシースイーツとして。
あんぱんに捧げる。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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