京都東山、四条と三条のあいだに新門前通りがある。この通りは日本の伝統的古物骨董などを扱う店が多く、日本について少なからず知識があるオリエント好みの外人観光客に人気のある小路だ。この新門前の鴨川近く「片山能楽財団」と表札に記された家こそ、「京都に片山家があって良かった」と言わしめた片山家そのもの。数年前鬼籍に入った人間国宝四世井上八千代、その子息である日本能楽協会会長をつとめ先年文化功労者顕彰をうけた片山幽雪、さらに京舞家元である五世井上八千代、そして観世流シテ方の長男片山清司と、この国の伝統芸能にとって不易な人間はひとりもいないという京都文化ファミリーの本拠がここである。いくらマスコミが取り上げても、狂言のルールを守らない和泉元弥が能楽の舞台に立てないのは、こうした伝統の番人がしっかりしているからだし、祇園甲部の芸妓舞妓が絶対的厳しさで、世界でもっとも長い130年に及ぶトラディショナルなレビユー「都おどり」を舞いつづけ、花街の品格を守り続けているのも、すべてはこうした世襲制度の門閥があるからにほかならない。なんでもかんでも平等とばかりに門戸開放をしても伝統は育たないという好例なのだ。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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