パリ・カンボン通りにシャネルが店を出して、今年で100年を迎える。彼女は20世紀のファッションに於ける革命児であり、すぐれた思想家でもあった。それまでの装飾的な衣裳を見事に現代の美意識に照応したシンプルかつ無駄のない衣服に改革した。黒はすべての色に勝ることを証明し、過剰は下品であると主張した。この記念すべき100年の今、世界中がシャネルに沸いている。ミュージカルが再演され、映画が作られ、出版業界もシャネルにのりだした。
軽井沢に住むアラフォーの閨秀作家山口路子さんも「ココ・シャネルという生き方」(新人物文庫)をだされた。表紙には「なぜ彼女はウエディングドレスを拒んだのか?」とあるが、そこでは彼女の87才の生き様をたどりながら、徹底的に彼女の人生観、世界観の読み解きに行間を費やしている。すぐれた人物論であり、女性論なのだ。多分筆者とシャネルとの距離の近さから吐き出された著書なのだろう。たった2枚のスーツを残し、ホテル・リッツの一室で大嫌いな日曜日に逝ったシャネルはかけがえのない女性であり、デザイナーだった。シャネルを知り、シャネルを読み解く貴重な一冊こそ「ココ・シャネルという生き方」なのだ。
ココ・シャネルという生き方。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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