ふと、「池上彰そうだったのか、学べるニュース」を見てしまった。近頃人気の高いニュース・バラェティと聞かされていた。新聞には「米軍イラクから撤退のワケ」とあった。いかにもNHK出身の記者らしく、抑制的にもっともらしく話を進める。うなずく人々は、知性とは遠いところにいるボクシングの内藤なにがし、オカマの金子タカトシ、雑駁なおばさん俳優柴田理恵、そして池上彰が惚れた女を伯母さんにもつというお笑いの土田晃之、などなど。
話題はまず、何故アメリカはイラクに行ったかというところから始まった。核開発の疑惑あり、というのとイラク民衆の解放、民主化にあったと彼は言う。そこで説明された論理は当時ブッシユ大統領の演説そのままで、この人はアメリカのエージェントなのかとさえ思われた。イラクと中東の石油利権に対するアメリカの野望も、絶えず局地戦争を仕掛けて兵器需要を喚起するアメリカ軍需産業のからくりも一切語られずに解説は進む。おつむの弱い芸人タレントは簡単に乗せられ、イスラム教とキリスト教の差異もとばして、民主化のオシルシのもとにアメリカを有難がる。今時こんな番組を放映するのはどこかの国から貰っているのでは、と疑われてもしかたがない。報道の朝日のプライドがあつたらもう少し骨のある学べるニュースを創るべきだろう。オバマ大統領になって、イラク戦争は間違っていたと、総括されているのだから、その延長線上にあるアフガン戦争についても明確な論理を展開すべきだろう。所詮つねに権力によりそって生きてきたNHK出身の池上彰では、無理なのだろうが、こうした劇場型のニュース・バラェティは無知な大衆を誘導するのに大変重宝な麻薬となっている。アンチテーゼを立てられる論客を同時にキャスティングして、池上彰の盲点をしつかりとチェツクすべきだ。局とプロデューサーの怠慢以外のなにものでもない。
池上彰学べないニュース
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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