夏が来ると、とても嬉しい。別荘にくる友人が、青山の紀伊国屋からパンを持ってきてくれる。メニューは決っていて、第一に「ピタパン」第二に「イギリスパン」だ。どんな土産よりこのパンの土産が嬉しい。軽井沢にも浅野屋をはじめ、フランスベーカリー、銀亭などパンの美味い店はあるのだが、ピタパンとイギリスパンについてはとても、紀伊国屋の敵ではない。
ソ連邦革命50年の年芸術代表として招かれ、一ヶ月近くソ連各地を巡ったが、コーカサスでピタパンの焼き上がりと共に始まったディナーの幸せが忘れられず、帰国後巡り合ったのが紀伊国屋のピタパンだった。焼きあがった平たく丸いパンをフーフーしながらむしり、名糖のバターを滲ませ、チップツリーのグレープフルーツのマーマレイドを添えて食べる。至福の朝食である。ピタの歴史は古く3000年前からあったとか、イタリアのピザの始原であったとか後年になって知ったウンチクである。それにしても山型のイギリスパンなど何処のパン屋にもある定番メニューだが、何故紀伊国屋のごとく芳醇にして美味いイギリスパンが作れないのか、不思議でならない。
ピタパンが来る!
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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