手元にAGENDA 1960 と黒地に金文字で押刷された厚さ2センチほどの本がある。1960年つまりパリのムーランルージュで仕事をしていた時、ソルボンヌの文具屋で求めた日記帳なのだ。その年覗いたパリの劇場、上演作品の印象記やら、下手な舞台スケッチが書かれている。以来アジェンダの意味は、日記乃至メモを越えることなく座右に置いて付き合ってきた。
ところが今年忽然とこのアジェンダが、新聞一面に登場してきた。みんなの党と称する二世議員の党首がさかんにつかっている。「アジェンダが一緒ならいつでも連立できるが、アジェンダが違うから連立はありえない。」そうか多分英語のアジェンダは意味が違うんだ。政策そのものの目標、または具体的施策のことをアジェンダというんだと勝手に理解していた。ある時なんとなく辞書を引いてみた。そこには会議事項とか、議事日程とか、プロセスに関する解釈はあったが、目的に関する解釈はない。つまり言葉の意味が全く違うのだ。それなら何処とでも一緒になれる。うちの党は「小沢一郎フリー」だからともいう。どこか変、そこに小泉型のポピュリズムを感じるのは僕だけだろうか。資産公開のときは200万円しかなかったのに、政党を立ち上げて堂々15人の議員を擁している。新党結成には10億かかって当たり前といわれる今日、後ろには余程の大銀行か、鳩のママがついているのだろう。
アジェンダ。あじぇんだ。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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