八橋検校の325回忌

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 修学旅行京都のお土産といえば八ッ橋にとどめをさす。筝曲の祖八橋検校を偲んで門前の茶店がお琴のかたちの小菓子をつくり参拝客に供したのが始まりと知った。聖護院八ッ橋総本店がその源流店。
 このほど検校の325回の追善法要にお招きをいただいた。団十郎さんの奉納舞もあるというので、東山のほとり獅子谷の法然院に伺った。JRのポスターにもなって町のあちこちにお目見えしているお寺は、見事な青もみじに抱かれ検校に因んだ琴の音が何処からともなく聞こえてくる。すつかり健康をとりもどした団十郎さんもご機嫌よく「谷崎潤一郎さんのお墓があるので、お参りにいきましょう」とお誘いをうけ思わぬ時を共にさせていただいた。浴衣に短靴のくつろいだ団十郎さんとあいかわらず美しい希実子夫人、長女のぼたんさん共々、獅子谷のお墓参りは、ゆつたりと時空をこえた不思議体験だった。奉納舞の八島もさすが当代一の名優にふさわしくかすかな息ずかいのなかに八島の悲劇がくっきりと浮かび、役者ならではの迫力ある素踊りだった。おりしも盲目のピアニスト辻井伸行のクライバーン・ピアノコンクール優勝の話題がかけめぐっているが、300年前の八橋検校からこんにちまで盲目の天才に想いのとんだ京都行きであった。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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