そばの里新行は元気だった。

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 白馬への道の途中、美麻村新行へ立ち寄った。 数年前SBCのプロデューサーに連れて行かれ、そのときの印象が強烈だつたからだ。標高950メートルの北アルプスの麓の小さな集落、里山に囲まれた村落風景に目立つのは「そば」の立て看板、あちらにも「そば」、こちらにも「そば」そばでシンボルの大きな水車がゆっくりまわっている。小屋のなかでは石臼でそばが引かれている。なにもない山間に10数軒のそばやがあるのだから、まさに「そばや」だけの村である。店はみな普通の民家か農家、ごくあたりまえに生業の「そばや」を営んでいる。ざる/大ざる/そばがき/うすやき/すこしばかり不揃いのそば達、香りがいい味がいい麺の腰がいい、無趣味な器に盛られたそばは充分に客をもてなす。近所のお母さんお婆ちゃんがそばを打ち、切り茹で盛りつけ、ジーパン姿の娘たちによつて運ばれてくる。おそらくこの集落にとっては、100年に一度の不況も何処吹く風、地味だけれど堅実な毎日だろう。地産地消をごくあたりまえに実行している。美麻村は近年大町市に合併されたが、記念イベントのふるまいはそばと汁粉、凧揚げをして祝ったそうだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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