朝日新聞批判にエクスタシーを感じ、アサヒ反対がライフワークだった文芸春秋のオピニオン誌「諸君」がついに休刊することになった。岩波の「世界」や朝日の「論座」などに対立する右翼論壇人のよりどころだったが、劇場型政治家やテレビ文壇人の登場とともに愛国者は雲散霧消してしまったのだろう。
歴史観のない安倍晋三をバックアップして、「美しい国」論に組みしたりしたが、参議院の自民大敗とともに路線転換をはかり、かろうじて反リベラル、保守回帰の牙城となっていた。中国との雪解けがすすむと、「新しい歴史教科書をつくる会」も影がうすくなり、たまに「朝までテレビ」で憂さをはらす程度になってしまった。進歩的文化人を嫌い、左翼インテリゲンチャを攻撃する論点は貴重な存在なのだが、ここへきて挫折したのはとても残念だ。新渡戸博士の「武士道」による日本人ルネッサンスなど、「諸君」に期待するテーマだったが、グローバル化へのバリアがひとつ減りふたつ減り、世界をただよう日本人がますます増えていくのだろう。三島由紀夫に詫びなければならない。
「諸君!」ついに休刊
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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