最高に美しく最高に魅力的な女たちの物語と、TBSが生野慈朗、井上由美子を投入、鳴り物入りで始まったドラマSCANDALは近年まれにみる駄作だった。なにより悲しかったのは、ひそかにファンであった鈴木京香の大根ぶり、仙台のモデル出生の彼女にスパイスのきいた演技表現は無理で、東北人らしい素朴な人間味のある役しか合わないことが証明され、長かった堤某との愛人暮らしも全くこやしになっていなかった。桃井かおりの、バレエ修行の弊害からいまだに抜け出せない形だけの嫌みな小芝居、なにも考えない長谷京、頭がからっぽでセレブ見習のような吹石一恵と、今に生きる女達の価値観とは程遠い八百屋の店先のような恋模様だった。致命傷は、作家も演出も「アラフォー」「アラサー」など近頃のおばさんの実態をしらず、ただ芸能集落に浮遊する寄生虫だということだ。かってのTBSのドラマには人間の真実をみつめる奥行があったが、オーム事件以後のハナマル暮らしでやきがまわったのかもしれない。タイトルだけの女優顔見世にしておけば無事だったものをなまじラブ・サスペンスと気取ったのが墓穴をほった所以かもしれない。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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