やっと熊が射殺された。雲場の池で観光客を襲った熊ではないらしい。この町では送迎バスに大きなクマの絵をかいて走っているホテルがある。そのホテルはベア・ドッグとかいう熊追いの犬を連れてきて、この犬さえいれば安全といい、夏のシーズン前には「熊と共生しよう」というチラシなんぞを町内の新聞に折り込み、野生動物の理解者をもって任じてきた。がそんな耳障りのいいキャッチがクマに通用するはずもなく、クマは観光客を襲い町中に出没するようになった。
猿もどうようだ。何年か前荒らしまわる猿の軍団駆除を決めたところ、近頃大都市から移住してきたインテリお母さん達が徒党をくみ役場に押しかけた。「人間も猿も同じイキモノだから、駆除するな、可愛想ではないか」と声をあげた。おかげでアンテナはやられ、駐車場の屋根は抜かれ、畑はあらされ、いまや猿園のなかに人間がすんでいるごとき様を呈している。野生動物との共存などと寝言を言っている間に、人間社会はずたずたになっている。猿が可哀そうなのではなく、人間が可哀そうなのだ。猪も鹿もまさに有害鳥獣なのだ。
軽井沢の熊退治
コメント
1件のフィードバック
-
遅まきながら、初めて星野先生のブログを拝読いたしました。おバカになって、品性も教養もない今の日本人をバッサリ切り捨てる小気味良さ。時間を忘れて、読みふけりそうです。共感と賛同の中に、果たして「これは私自身のことかも」と
ハッとする、おバカで品性欠落の自分に気づかされるのです。これからも、日本人の常識と良識を取り戻すべく、ブログを通してご発言を続けてくださいますよう。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
コメントを残す