600年前、突如として現われフランス滅亡の危機を救った19才の少女、ジャンヌ・ダルクはいまだにフランス人の心を掴んではなさない。なによりの証拠に、パリには6つのジャンヌ像がある。誰でも知っているのはピラミット広場からルーブル宮に向かって立つ黄金のジャンヌ像だ。馬に乗り旗手を務めた姿が颯爽としている。剣を抱いて戦争への悩みを見せるいたいけな少女の像はビクトル・ユーゴーの教会にある。甲冑姿に身を包んだ決意のジャンヌはサン・マルセルの通り。叱咤激励して戦場を駆け抜けるダイナミックなジャンヌはセーヌ川ビル・アケム橋の中州にあって彫刻的にはもっとも優れた人馬一体の作品。神の預託を受けて戦うジャンヌの情熱が噴出している。道徳的で自律的であったが、ときに攻撃的になる典型としての彼女はドストエフスキーと共に癲癇体質だったといわれるが、無月経で処女であったことも宗教裁判で証明されている。男装という異端、神の啓示を受けたという呪術性、男に優り戦う女の力、何処から見ても現代の女性像に通じる魅力があった。4時間かけて灰となった火刑台のジャンヌは、セーヌ川に流され、600年後に聖人として、パリ・ノートルダム寺院とバチカン・サンピエトロ大聖堂に祀られている。パリジャンもジェンヌもみなジャンヌ・ダルクの熱狂的ファンなのだ。
プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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