便歴とメクラ暦

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 大晦日の仕事で一番大事なものはカレンダーのチェンジと松飾と干支の人形をとりかえること。
 それに大掃除と不要物の処分…これが我が家に於ける男性の仕事である。
 暮れになるとあちこちから電話が掛かる。「ご挨拶に伺いたいので……」「結構ですが、カレンダーは持ってこないでください。頂いても掛ける壁がありませんので」とあらかじめ伏線を張るのだが、それでもカレンダー持参のお客さんは多い。
 名前入りのカレンダーは困ることが多い。
 最近では伊東屋特製の何も書いていないタテナガのカレンダーを使っている。ダイニングとトイレに鎮座している。
 毎日が数字で表示され、小さく薄く大安だけが書かれた超タテナガのカレンダーである。
図2.jpg図1.jpg
 三井の総本家から毎年いただくのは「便歴」という大化元年から令和五年までの逆算年数が速読できる折畳式のそれである。
「私は文化2年の生まれで…」「ならば219才になられていますね」そんな具合に利用できる。
南部絵ごよみ.gif
 70年前、吉永純一さんと共に岩手にカレンダーを買い求めにいったことがある。
 盛岡市内のちいさな金物屋さんにあった。「南部メクラ暦」と名付けられた一枚の絵ごよみだつた。田お越しから収穫まで自然現象に対応した稲作が見ただけですぐ判る。 学問のない農民にとっては不可欠のカレンダーだつた。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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