レイプされても堕胎できない。

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 ニューヨーカーが三人集まると、という話題コーナーがあった。
 今日只今の話題の中心は「妊娠中絶と中国問題」だそうである。
 中国問題は、あたり前のように中国の覇権主義が問題であり、将来資本主義との確執がどこまでいくか、やはり中国とは戦争を覚悟しないと問題解決には至らないのではないか、といった宿命論が圧倒的に多いようだ。
 日本人にとって信じられないのは、もうひとつの「妊娠中絶」、いまさらと思うが、アメリカではかなり深刻な問題としてとらえられている。
 1973年連邦最高裁による「ロー対エェイド判決」により、胎児が子宮外でも生きられるようになるまでは、女性に中絶の権利がある、という考え方が認められていた。
 ところが最近いくつかの州議会で、人工妊娠中絶を禁止という州法が成立している。
 オハイオ州、ケンタッキー州、ジョージア州、ルイジアナ州、ミシシッピー州、アラバマ州、そしてテキサス州……。
 アラバマ州のディナ・ザーロットさんは、17歳の時にレイプされ、それが後になって妊娠が判ったが、時すでに遅く中絶できる時期が過ぎてしまい、やむなくレイプ犯の子供を産んだ。アラバマの州法は全米でももっとも厳しい人工妊娠中絶法であり、女性の不幸に対して全く目を向けていない。 レイプ犯や家族犯についてまったく理解していない。
 最近では南部のテキサス州で人工妊娠中絶法が成立した。
 早速に女性権利擁護団体が、連邦最高裁に差止めを請求したが、逆に最高裁は請求をしりぞけた。 ニューヨーク市ビル・デブラシオ市長は、これは「女性の権利に対する直接攻撃だ」と怒りをあらわにしているが、人口の8割を占めているキリスト教徒たちは、これは当然の処置と受け止めている。
 人工中絶は宗教戦争であり、文明戦争の様相を呈している。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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