パリの友人イノツメ夫妻からメールが来た。
先週ブルスド・コメルス美術館に行ってきた、という便りだった。素晴らしい写真がそえられていた。
写真の紹介もかねて、コロナ禍のさなかにオープンしたパリの美術館について紹介したい。
ルーブル美術館とポンピドー・センターの中ほどに完成したのが、この5月にオープンした「ブルスド・コメルス美術館」だ。
建物は18世紀の歴史的建造物である商品取引所を改修、内装設計は安藤忠雄が担当した。
まず中央の高さ35mのガラスの丸天井クーポールからそそぐ光が素晴らしい。
スイスのビジュアル・アーティスト ウルス・フィッシャーのインスタレーションはすべて蝋でつくられていて、毎日海に溶けていく作品、
あるいはアメリカ デビット・ハモンズのすべて廃材による30点のアート、
エレベーターホールの足元には、さりげなく壁を破って覗いている鼠がいる、といったイギリス ライアン・ガンダーの作品等々……。
現代美術で充たされているのがこの美術館だが、18世紀建築と壁画という過去とコンテンポラリーアートがつくりだす未来が同時に体験できる素晴らしい美術館だともいえる。
この美術館は実業家フランソワ・ピノーの財によるものだが、コロナ下にもめげず粛々とつくったフランスの環境が羨ましい。
ちなみに彼はここ以外にもヴェネチアのパラゾ・グラッシや、ブンタデラ・ドガーナも所有している。
クーポールが素晴らしいパリの新しい美術館
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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