朝日新聞が映画製作に熱を上げているとは知らなかった。
新聞が傾いて、いろいろな生残り策のなかの一環なのだろう。
映画が映画会社の手から離れ、製作委員会システムという資本集合体が主導権をにぎる製作体勢になって久しいが、出資額の一番多い会社が製作幹事を務める。従って製作幹事のクレジットを見れば、その作品の傾向も判るという仕掛けである。
朝日新聞が製作幹事になっている作品はいかにもの作品が多く、本当に映画を愛しているのか疑わしい映画も散見される。
最近公開された映画に「犬部」というのがある。
捨て犬や野良猫の保護活動に従事している大学生の姿を描いたノンフィクションが原作で、犬猫の殺処分にかかわる社会性がいかにも朝日新聞が出資するにあたいする題材である。折からのペットブームに棹さした朝日新聞家庭部特選といったところか。
小野田寛郎少尉の半生を描く「ONODA 一万夜を越えて」、ホラー作品「聖地X」、オール韓国の「アジアの天使」、「川っぺりムコリッタ」、シングルマザーと息子の成長を描く「茜色に焼かれる」「NO SMOKING」等々、ジャンルがばらばらで一貫性がないのが特徴になっている。
映画製作にかわることで、当たれば配当金も入ってくるし、なによりも宣伝出稿料が期待できるのでつぎつぎと製作しているのだろうと思われるが、やはり素人の域をでていない。
小手先のトピックスに飛びつくのではなく、映画史に残るような作品を製作してほしい。
かってQと称した映画評論家津村秀夫は朝日新聞にいたのだから、伝統を重んじ思想に殉じることなく、芸術に殉じる映画を遺してほしい。
朝日新聞の映画製作
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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