さかのぼること30年、茨城の田園地帯に突如、直径8、7m、高さ6mの巨大な傘1340本建てられたてられた。
北茨城の田んぼが一夜にしてアートと化した。
茅葺きの小さな農家の小窓から老婆が顔を出し、どこまでも続く傘をみていたのか、突然おしよせた田圃道のニワカ芸術愛好家を見ていたのか、呆れ驚いていた顔が忘れられない。
クリストとジャンヌ・クロード夫妻による環境アート「アンブレラ・プロジェクト」だった。
20世紀の芸術拡張概念からいろいろなアートが生まれた。
ハプニング、アースワーク、などの中には理解しがたいものもあるが、その最大にしてダイナミックな試みは、クリストによる「梱包芸術」に尽きる。「梱包された海岸」「囲まれた島」「谷間のカーテン」「梱包されたポンヌフ」「梱包されたドイツ議事堂」そして茨城とカリフォルニアにまたがった「アンブレラ・プロジェクト」等々……。
彼は昨年5月31日に死去しているが、生前に残された彼のプランによる、世界一のパリ凱旋門が梱包された。
25000平方メートルの布により、9月18日から10月3日まで開催されている。
コロナ明け近いパリジェンヌにとって絶好のプレゼントになったことだろう。こうした芸術イベントに対し、フランス人ほど関心たかく心広い国民はいないだろう。
ナポレオンの偉大なる意思であり、無名戦士の墓がスッポリと梱包されてしまうのだから、普通なら賛否両論で騒がしいところだが、粛々と凱旋門は梱包されてしまった。
このアクションを立民や共産党の左翼は理解できたであろうか。せいぜい高市早苗候補ぐらいなら許可したかもしれない。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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