草間彌生と出川哲朗・カボチャとスイカ

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 瀬戸内海に浮かぶ直島といえば、島中アートの島として有名だ。
 安藤忠雄デザインの地中美術館だったり、リューフォン美術館、あるいはベネッセ・ミュージアムなどの美術館と、あちこちに野外オブジェなど置かれて、美術愛好家にとっては垂涎の島でもある。
 二週間ほど前、出川哲朗のスイカの充電旅に高島れい子が伴走して直島を走っていた。
 突然現れたのが、カボチャに水玉模様の大きなオブジエ。出川は「なんだあれ!」とわめき、高嶋れい子が「草間彌生のカボチャじゃない」と説明したところ「草間彌生って誰? 俺そんな人知らねぇもん」と出川が言い放った。なるほどテレビにでているお笑いタレントとは、そういうものかと認識した。
 台風のさなか直島の草間彌生のカボチャが、海に流されたというニュースが飛び込んできた。
 3メートルもある巨大なカボチャが流されるとは、随分不思議なニュースだと思ったらどうやら設置した土台とカボチャは強力に接着してなかったらしい。よくよく情報をみるとカボチャは強化プラスティック製、ならば3つに割れたのも理解できる。いままで突堤の先に無事に存在していたのが不思議なくらいだ。
 設置したのはベネッセ・コーポレーションという教材やさん、さもありなんという結果だった。
 出川の充電旅に続きがある。直島の地図をみてここに行きたいと、出川が願った美術館には一つも入れなかった。事前にネットで予約し許可を取らなければ駄目というシステムだ。多分作家たちの半端な著作権意識やデジタル万能のお役所仕事のせいで、スイカの充電旅は入館拒否されたのだ。折角のアートの島もこれでは閑古鳥の島になってしまうと予感した。大衆のなかのアートをめざしながら、大衆を遠ざけることに注力している厄介な島だということが理解できたスイカ充電旅であった。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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