イタリア最高のラグジュアリーブランド・ヴァレンチノを表現するモデルが、キムタクの娘ときいておおむね頷けた。
日本の帯という世界最高の工芸品について、kokiなる芸名の娘に理解力を期待するほうが無理難題というものだ。本人のみならず、キムタク並びに工藤静香という両親すらも全く理解していないだろう。
ヴァレンチノもかってヴァレンチノ生存中のヴァレンチノとは全く違っている。カタールの金持ちの支配下になってからは、哲学を失い高額商品を製造するイタリアの洋服やになっている。
その洋服やが、中国人のコマーシャル・スタッフに制作依頼したCMであれば、おおむね出来上がりは想像できる。
そもそも泉鏡花の草迷宮にインスパイアされたという言訳に呆れる。このスタッフには文学を読み解く力はない。映像化された表面だけを見て、アイディアを盗んだのだから、盗っ人猛々しいとしかいいようがない。
ごつごつした岩山に帯を並べ、芸人の二世モデルを歩かせて、寺山修司にインスパイアされたとは、よくも言ったり。芸術的表現に傾くなら、ヴァレンチノ自身のかっての名作ファッションを並べ、その上をピンヒールで歩いていく位の度胸があれば、フランドの覚悟として皆受け取ったであろう。
パリの東洋美術館でも、ボストン美術館でも世界最高の手工芸品として扱われている日本の帯を踏み歩く神経は、ブランドとスタッフ、それにモデルの無知無教養をしらしめるものだ。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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