コロナ・パンデミックのなか、世界中の美術館やギャラリーが困難に直面している。
オンラインで工夫してやっているところもあるが、個人とアートとの直接対話を主題として成立している美術館ビジネスでは、自己否定いがいのなにものでもない。
人的資源の確保のため、肝心の芸術資源を犠牲にしてヤリクリを続けているギャラリーも多いと聞く。
そんな中で、いま着々と進行しているのが、美術の世界のジェンダー・バランスである。
既に国立新美術館館長には逢坂恵理子が就任、公立の横浜美術館館長には藏屋美香、私立の森美術館には片岡真美、この4月1日から金沢公立の21世紀美術館館長としてキュレーターの長谷川裕子が就任することになった。
開館当時、予告パーティをヴェネチア・ピエンナーレで開催するなど、話題をよんだ21世紀美術館だったが、三代つづいた男性館長では明日への展望がもてなかったのかもしれない。当初比較的安価に購入できる現代美術作家に焦点を当てたためそのごのコレクションに齟齬をきたしたのかもしれない。
その点、始まりのコレクションにたずさわった長谷川裕子を呼び戻したことが、凶とでるか、吉とでるか。美術館にある三つの課題、美術と経営と労務管理をうまくこなすことができるか。
コロナ下では、海外作品の出入りは不可能、ブロックバスターと言われる何十万人も動員するスポンサード展もひらけず、コレクションの再発見にたよるしか残された道はなく、女性館長による繊細なコレクション再発見こそが、勝負のしどころかもしれない。ままありがちの「母と子の……○○展」とか「……教室」的な企画にならぬよう祈るばかりだ。
美術館生き残りを託された女性たち
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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