朝のヘビロテ

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紅茶に始まる朝が、もう80年近くつづいている。
 学生時代からコーヒーは苦手だった。戦後まもなく紅茶はリプトンか、日東しかなかった。数年のちトワイニングが上陸した。トワイニングではじめて朝の紅茶と午後の紅茶があることを知った。海外へいくようになったとき、ロンドンのフォトナムメゾンで英国王室御用の紅茶の存在を覚えた。
 朝は何杯飲んでももたれない伝統的なブレイクファースト・ティに限る。午後は少しクセのあるアールグレーがいい。追いかけるようにフルーツティの時代がきたが、どれをのんでも感心しない。伝統的なクラシック・ティにまさるものはない。
 今では、フランスのCHA YUAN チャ・ユアンのモーニング・ティか、アールグレイ・インペリアルにおちついている。たまさかミセス・トミーが送ってくれるザ・プリンス・オブ・ウェルズ殿下の農場で作っているWaitrose DUCHY のイングリッシュ・ブレイクファーストが素晴らしい。
 牛乳をいただくとお腹が不調をきたす。しいて朝の果汁といえばトマト・ジユースぐらいのもの。これは信州産で充分である。
 軽井沢に美味いパン屋はない。佐久に素晴らしいパン屋がある。 Te Te ててという名のちいさなパン屋のクロアッサンやバケットが素晴らしい。トロカデロのカレットに匹敵する旨さ。そのままエリゼー宮にとどけても通用するレベルなのだ。
 バターはBEURRE DISIGNY イズニーの発酵バターが好きだ。フランス料理の旨さはひとえにバターの旨さだと信じている。真面目に作ったバケットとイズニーのバターがあれば、全てオーケーだ。雪印などにはない奥の深い味わいは、潮風にあたったノルマンディの草に育った牛だからこそ出来るのだと、教えられた。
 朝のヘビロテ最後はイギリス王室御用のジャム TIPTREE・ESSEX のオレンジ・ママレード、WITH MALT WHISKY か WITH CHAMPAGNE が大好きだが、日本では明治屋にオレンジ・ウィズ・ウィスキーがはいるのみで、ウィズ・シャンパンの姿はみえない。パリのボン・マルシェにいくと約6メートルの棚に6、7段ぎっしりとティップトゥリーの逸品が並んでいる。パリ着到の2日目は必ずボン・マルシェに駆け込んで、朝のヘビロテをしこんでくる。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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