ペットに生きるお姫様方

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 世間への不信感からか、ペットに傾斜する人々がふえている。
 文才に恵まれたI嬢は十数匹の猫に囲まれて暮らしている模様、というのは筆者は現場をみていないからなのだが、時に手を傷だらけにして猫にじゃれられたと訳のわからない台詞を口にしている。オートバイを無鉄砲に走らせたり、著名な画家であった父をこえる絵をかいたり、何百枚のエッセイをものにして、私は売文家にはなりたくないといって、恋人らしき人の事業資金集めに奔走する破天荒な暮らしを続けている。猫の大家族とI嬢の関係は簡単には想像できないが、どこかで猫の生態とクロスする部分があるのだろう、と推察している。
 二匹の犬とともに札幌、高輪、軽井沢を遊弋しているのは、かってワールド・ブランドのスタイリストとして腕をならしていたY嬢である。
 Y嬢はポメラニアンの姉ハンナちゃんと弟グリージォちゃんを、日々の友を越えた殉愛の対象としているかのごとくに見える。普段は冷静で醒めた眼をもっているY嬢だが、二匹のポメラニアンはイテくれるだけで幸せ、「私は見ているだけでナゴムの、」と愛情をかくさない。男性にたいしてもそんな率直な愛をもっているのかどうか、知る由もないが、「この愛に理由はない」とのたまわれている。
 かってキャビン・アテンダントを務め、モデルからハイ・ブランドのスーパーバイザーであったR嬢も、17才のヨークシャ・テリアに自身の生活行動を預けている。老犬の健康にすべてを預けて暮らしている様は、かって個性的に生きていたR嬢のイメージと重ならないが、それが現実でもある。孤独から救ってくれるリリーちゃんという名の愛犬は、先に天国に旅立った彼よりも大きな存在であり、彼女の毎日の羅針盤になっているようだ。
 コロナ感染症のいま、鶏のカンピロバクター感染症や、牛・豚・山羊・などの家畜間を自由に往来して、無数の殺処分を生み出している口蹄疫ウィルスのごとき、悪疫感染症が犬、猫などのペットに現れても不思議ではない。そうした感染症ウィルスに武漢の細菌研究所が注目しないことを祈るばかりである。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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