なんきんと柚子と冬至と

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江戸銭湯美人画.jpg
 昨夜は冬至だから、という理由で相方は「かぼちゃの煮付け」を持って帰ってきた。
本当は「いとこ煮」じゃないと、ぶつぶつ言いながらかぼちゃを食べさせられた。いとこ煮はアヅキとモチゴメをいっしょに炊くらしい。
 小豆の赤が魔除けになるし、かぼちゃは風邪と中風にきくといわれている。
 食後には「ゆず湯」が待ち構えていた。といってもバスタブに柚子がひとつ浮かんでいるだけだが、江戸の銭湯では、沢山の柚子が浮かんではんなりと女性が風呂にはいっている浮世絵など散見したことがあった。
 女子の冷え性や腰痛に効くといわれ、柚子の皮からでるクエン酸やビタミンCが、お肌によく、ひび、あかぎれにも効用ありといわれている。女子に人気のゆず湯、の所以である。
 柚子の実がつくまではとても時間がかかるので、運をよびこむ禊や厄払いにも「ゆず湯」は江戸っ子の通過儀礼だった。
 風呂を愛した日本人にとって、5月5日の菖蒲湯と12月22日のゆず湯は、晴れの日の風呂だったのだろう。冬至の七草は運盛りといわれ、なんきん、れんこん、にんじん、ぎんなん、きんかん、そしてうどん、優れた行事食だった。
 夏井先生に怒られないためには、ゆずは秋の季語だが、ゆず湯は冬の季語、覚えておいてそんはない。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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