2020のオリンピックはすでに耳たこだが、2020はベートーベン生誕250年の記念年でもある。
すでにクラシック業界では、ベートーベンにかこつけた企画が目白押しだ。
ベートーベン三大交響曲の夕べ、 ピアノとヴァイオリンによる2大協奏曲、あるいはベートーベンによるピアノソナタ全曲シリーズ等々、楽聖ベートーベンの尻馬にのって金儲けを企む文化商人が張り切っている。
ところが思わぬところでベートーベン生誕をチャンスに、商売の大拡張をねらっている業界があった。カツラ業界である。
教科書で慣れ親しんできた、モーツアルトも、バッハも、ベートーベンもみんなカツラだった。このさい、ハゲのおじさんも、薄毛のおばさんも、みんなカツラをつけたらいい。
カツラを恥ずかしいものとせず、お洒落の一部として堂々と流行らすには絶好のチャンスではないか。メーカーと代理店がひそかに企んでいる。
17世紀から18世紀にかけてのカツラ・ブームは毛じらみが原因だったといわれているが、そうしたリアルを超えて、フランスでは成人したら自毛で外出してはいけないという行儀作法の領域までカツラがはいりこんだ。
平安期のお姫様が優雅に顔をかくす檜扇も、じつは口臭を相手にかけないための作法だったが、口臭予防の垣根をこえてアートなアクセサリーに昇格した。
森山良子と清水ミチコがはしゃぐ列車旅よりは、ベートーベンのカツラ・スタイルを宣伝したほうがよほどカツラのステージもあがるという訳だ。 嵐やら台風がカツラをかぶって馬鹿さわぎしたら、ひょっとして流行の表舞台に登城してくるかもしれない。
ベートーベン生誕250年のカツラ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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