AIの家来になった若者たち

by

in ,

マッチングアプリ.jpg
 人間は間もなくAIの下邊になるだろう。AIというご主人様の思うように生きていかねばならないのが、10年後20年後の人間のすがたである。と、訳知りに解説しているご仁もいられるが、若い人たちはいまや雪崩を打ってAIの支配下にはいっている。
 人間と話すのがうっとうしく、AIの言うとおりに恋をしたり、結婚をしたりするほうが、ずっと安全だし安心と信じている。
 いわゆる「マッチング・アプリ」と呼ばれるシステムだが、「恋活」「婚活」「再婚」「出会い」という人間の一生にとってもっとも重大なチャンスをすべてAIの指示に従うという人が、40パーセントの多きにのぼっている。
 今すぐかんたん無料登録! 1000万人突破! 国内最大 利用率No.1 誰にもばれずに婚活したいなら! 無料で相手をシュミレーション! スマホとパソコンしか友人のいない若者にとって、こんな魅力的なキャッチ・フレーズはない。そしてそうしたマッチング・アプリがネット上に溢れている。
 男性は有料だが、女性は無料がたてまえ、登録時の面談、独身証明書、年収証明書、学歴証明書つき、そのほかもろもろの条件が登録され、そのうえ両親の職業、資産状況、趣味、趣向まであらかじめ判るとすれば、女性にとってこんな便利なアプリはない。
 1対1での落ち着いた「ラウンド・トーク」、月6名まで紹介してくれる「データ・マッチング」、そのうえ写真による寸法と雰囲気の「写真検索」、渋谷道玄坂や代官山の出逢いを超えた出逢いが待っている。
 職場でうっかり女性を口説いてセクハラで大恥をかくより安全、と考えたら、マッチングアプリの言うとおりに「イイネ」をつけておくほうが、当世の若者にとっては楽なのかもしれない。
 街コンに行ったけど軽い人ばかり、婚活パーティでもいい人見付らない、控えめの性格だから自己アピールできない、そんな女性たちにとっても秘密厳守のマッチング・アプリ、「検索」し、「イイネ」を押して、マッチングしたら「メッセージ」、かくしてAIの思い通りの人生が待っているのだ。


コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です


プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


カテゴリー


月別アーカイブ