七夕のななつ飾り

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 七夕が来ても七夕の気分になれない。
 異常気象つづきで、泥だらけの田んぼや倒木、土砂に襲われた民家を見せられては、心は暗くなるばかりだ。
アーケードに守られた七夕飾りや、くす玉と吹き流しだけの商店街の七夕には、七夕本来の祈りは全く見えない。
 日本古来の棚機(タナバタ)と、中国から渡ってきた乞巧奠(キッコウデン)を結び付けた七夕に、眼をつけたのは仙台藩伊達の殿様だった。
 この七夕の竹飾りを、藩民教育に利用しようと考え、広く藩内に七夕の竹飾りをするよう推奨した。
笹竹を切ってきて、みな心をこめて七つの竹飾りを作れと、お触れをだした。
ひとつ……折鶴 ・長生きを祈って
ふたつ……吹流し ・裁縫の上達を願って
みっつ……網飾り ・大漁を祈って
よっつ……巾着(財布) ・金運に恵まれますように
いつつ……着物(紙衣) ・着物に不自由しない
むっつ……短冊 ・読書きの上達を願って
ななつ……屑篭 ・整理整頓倹約の心を忘れないように
 かくて仙台七夕は日本一の七夕まつりになった。七間町には今でも伊達公のお触れをまもった古風七夕飾りがある。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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