誕生日の記者会見で皇嗣となられる秋篠宮さまが、発言した。
新天皇即位に伴う大嘗祭について、宗教色の強いものなので、国費で賄うのには疑問がのこる、という発言である。前回今上天皇即位の折にも、国費支出反対で、身の丈にあった簡素な儀式にすべしと云い、「すっきりしない感じをいまでも持っている」と発言している。
天皇家の一員として命を受け、神道の真っただ中にいる秋篠宮が、国家としての日本の伝統について否定的な意見をもつのは大変に不思議なことだ。
ひょっとして秋篠宮は、日本国をキリスト教国家にでもしようとしているのか。現在の天皇家には、キリスト教教育をうけた姫が4人もいる。最少家族のなかの4人であれば、その影響力ははかりしれない。それ故、何かと経費のかからない身の丈にあった簡素化をめざせ、と発言する。国家のアイデンティティを経済論理でかんがえるのは如何なものか。
千年にわたる天皇即位に伴う儀式を簡素化せよ、というのは伝統の破壊……それ以外のなにものでもない。伝統は固くまもってこその伝統であり、日本の国家としてのアイデンティテイである。この国が歴史上貧しかったことは度々ある。天武天皇以来、いく度かの貧しさのなかでも新天皇即位に伴う重要な祭儀と位置ずけられてきた大嘗祭の簡易化をはかったら、国家としてのアイデンティティがなくなる。
共産党や立憲民主がとなえそうなことを、次の皇嗣となられる秋篠宮さまが発言するとは情けない。
なにごとも節約が美徳というのは、キリスト教的な考え方で、神道では厳格に守り継いでいくことに価値をみいだしている。ヨーロッパ先進国の王族たちが日本の天皇に一目おくのは、直系男子による継承が1000年守られ今日まで続いているからにほかならない。
祭式簡素論は神道国家破壊論につながる。日本はこのさい神道を基本とした多宗教国家であると宣言して、第二次世界大戦の敗北から脱却するのもいいだろうと、さえ思っている。
大嘗祭は日本全土の東西から二つの田圃を選び、そこで育てた稲穂を御飯とし、黒酒と白酒にして神にささげ神の祝福を受ける新天皇初めての収穫祈願祭だ。そこには技術の伝承も民俗の伝承も思想の伝承も歴史の伝承もつまっている。
田園都市国家としての日本と、新しい天皇という祈りの存在がこの祭りを通して一体化するきわめて重要な祭式なのだ。
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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