男に負けたくない! からだの線、素敵でしょ! これ以上太れない!
種々雑多な女性の思いを引き受けて、足より細いパンツが流行した数年だった。すご細ストレッチ・パンツ、すご伸び・くせになる履き心地ジャージィパンツ、一度履いたら戻れないレギンスパンツ等々 これでもか、これでもかのファッション業界だったが、もうこれ以上は売れない、パンツが腐りはじめた、とばかり大きく舵をきった。
つい半年まえまで、やみつきまちがいなしと謳っていたにもかかわらず、厚顔無恥な心変わりをするのがファッション業界だ。
「大きいって気持ちいい」「ダブダブルックこそモードな貴女」「今っぽいゆるさ、らくちん」です。大きく呼吸してください。後ろはゴムで前リボン。こんなに楽なトレンド感あるボトムです。
昨日まで短い脚に耐えてレギンスパンツをはいてきたのに、きょうからはベルト付きスカーチョとは、少々恥ずかしくもある。でもカタログのトレンド感のあるボトムスにはかなわない、と財布は確実に軽くなる。
きょうからは大根足も隠れるし、いくら食べても判らない、のびのびと暮らせるわ、と思わず買ってしまうワイドパンツ、イージーパンツ、ベルト付きタック・パンツなのだ。
流行産業ほど人の欲望に竿さしたいじましいビジネスはない。人間のアキル心情を煽ってつぎつぎと目先をかえていく。それに乗る人間もオバカなのだが、もっともらしく欲の谷間をついてくるカタカナのキャッチ・コピーにころりと騙される。
資本主義経済と手を携え、メディアの宣伝力を利用した消費文化の担い手、それこそがファッションなのだ。
とわかっているが、やっぱり「ダブダブふわふわは私にあっている」!!!!!!!
ダブダブ・ルックの悪だくみ
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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