貴乃花理事落選の当然

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貴乃花理事落選の当然
 先日来の大相撲の不祥事についてほとんどのマスコミは、貴乃花親方と相撲協会という図式にわけて報道を繰り広げていた。
 貴乃花親方が善であり、相撲協会が悪という設定である。はたしてこの報道の図式は本当だろうか。
改革派は貴乃花であり、守旧派は相撲協会という前提だったが、この報道の仕方について少し考えてみた。
 貴乃花は自分のブログで相撲界を改革しなければならない、といっているが、どう改革したいということについてはなにもいっていない。中身不在のスローガンだけなのだ。
 理事でありながら理事会での無口傲慢ではとりつくしまもない。
 かって貴乃花が部屋をもった時、やはり相撲界を改革すると打ち上げて実行したことがある。
 それまでの部屋のご贔屓制度を廃止して、これからはサポーター制度にするという話だった。年間の寄付金額に応じて、サポーターAやらサポーターBにわけるというのだ。サッカーではあるまいし、日本の民俗にねずいた歴史のある大相撲をヨコモジのサポーターにしようというのだからビックリした。中学程度で勉強を終わり、それ以後ずっと相撲しかしてこなかった人の脳みそに愕然としたのだ。もう少し歴史をまなび、文学を勉強すれば、サポーターなどという軽薄な言葉はでてこなかったろう。これは改革てもなんでもない、相撲部屋に存在する維持システムを流行に竿さしてカタカナにしただけのこと、これでは改革の名前が泣く、大相撲が安っぽくなるだけのことで、この国の文化である相撲が、ただの興行になってしまう。
 そんな過去体験から、貴乃花のいう改革は信用していない。地上波テレビのワイドショウは、声をそろえて貴乃花の理事落選を憂い、これで相撲改革は遠ざかったように報道していたが、これではますます視聴者はテレビから逃げるばかりだ。
 朝日新聞系のあるコメンテーターは、「発信力のあるのは貴乃花だけなのに、これで相撲協会改革は絶望的になった」と論じていたが、これはフェイク・ニュース以外のなにものでもない。
 部屋制度の存廃について、全親方全関取全贔屓が原点にもどつて議論するくらいの勇気がなければ、大相撲の改革など到底できないのではなかろうか。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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