「余計な親切、大きなお世話」この国のガラバゴス化した家電群が、次々と韓国勢、中国勢に敗れ、結局技術移転どころか、そっくり母屋を取られた例は、シャープ、東芝、ソニーをはじめ数えきれないほどある。
日本人の属性があまりにも細かく、いらない親切をまねいてしまうので、結局ドツボにはまり、コストを無視して、いらない機能を追っかけてしまうのだ。
パリのアパートについていた韓国製の洗濯機を思い出す。こまかい指示やメモリは一切なく、洗濯物と洗剤をほおりこんでスイッチ・ポン、洗濯が終わり、乾燥が終了するまではドアはあかない。一定温度に下がるまではロックされている。それだけ、メーカーの判断にしたがうだけで、素人は黙っていろと言った作り方なのだ。余計な手加減は不必要、これだけの機能で充分といったシンプル構造、当然コスパもいいにちがいない。
それに引き換え日本の洗濯機、外出先からスマホで遠隔操作ができます。仕上がりもお客様次第、ソフトにもハードにもできます。洗剤も入力していただければ、その洗剤の特性に合わせた洗濯をいたします。……親切すぎてうろたえてしまうのだ。
そこまでやる必要があるのか。その分せいぜい安くしてくれたほうが、ずっとうれしい。世界の常識10万前後、日本のスーパー洗濯機40万円、まったく無駄な企業努力だともいえる。
「晩ご飯何がいいかな?」「寒いので、煮込みハンバーグは如何ですか」「肉料理が続いているので、魚料理は如何ですか」この電子オーブンレンジには、450種類のメニューが用意され、AIが調理履歴や冷蔵庫の食材、その日の気温によってオススメのレシピを紹介してくれるという。パン・ピザだけで100種類、スイーツ100種類のメニューを持っている。
他国の製品との差別化を図るために努力してきた結果、複雑すぎて普通の人々のライフスタイルに合わなくなってしまったのが、日本の家電製品といえる。まず足元の暮らしを見つめなければ、世界中の人々から愛される製品はつくれないだろう。
その機能いらないでしょ、余計な親切大きなお世話
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プロフィール
星野 和彦
Kazuhiko Hoshino
1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表
作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞
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