インバウンド向け夜のエンターテイメント

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 インバウンド向け夜のエンターテイメント
急増してきた海外の観光客、2020東京オリンピックに向けて、芸能界の一部のテンションが上がっている。海外の旅行代理店からオファをうけ、圧倒的に不足しているのが、夜のエンターテイメントである。
 旅先で夕食後、衣裳を着替えてオペラ・ハウスにでかける、劇場で芝居をみる、ナイトクラブのショウを楽しむというのは、先進国ではごく当たり前のライフスタイルだが、この国はこの習慣にとぼしい。
 歌舞伎座はあるが、なかなか切符が取りにくい。オペラハウスも同じこと。バブル前にはレビユウを上演するクラブ・シアターが結構あったが、ほとんど閉鎖してしまった。夜の東京には全くと言ってイイほどそうした場所がない。東京でブルーノートのジャズを聴きたいと思わない。AKBしかり、ジャニーズしかり、というわけでいちぶ芸能界が盛り上がっている。
 最右翼はDRUM TAO …… 北米44都市、ヨーロッパ43都市、エジンバラ芸術祭などにも出演し、現在22カ国400都市を巡演し、圧倒的な評判をえてきた和太鼓演奏グループである。
 DRUM TAO は2000年に、九州阿蘇くじゅう国立公園内に大小3ッつの稽古場、トレーニング・ジム、スパ、ゲストハウス、などを備えた複合施設「TAOの里」を建設、スタートし、2009年には2000人収容の劇場まで創ってしまった芸能集団なのだ。
 男女合わせて33人のメンバーは、ひとり6畳ほどの寮に住み、毎朝5時半からのレッスン生活をおくっている。打物、大太鼓、小太鼓、〆太鼓、篠笛、琴、扇子、太棹三味線、殺陣、踊り、サーカス、幡などすべての技術をマスターし、そのうえ演劇的要素が加わる。裸の男性美と優雅な女性美の交錯した空気のなかを、打撃群のダイナミズムが溢れる、外人にみせるエンターテイメントとして最上の舞台だ。
 大阪ではOSK日本歌劇団がJTB西日本と提携して、真田丸やSAMURAIをテーマにしたレビュウを作っている。
ハワイにいつたらフラ、バリ島ならケチャ、パリならカンカン、といった世界の名物に対しなにが出来るか? 日本には世界一の民俗芸能があり、KIMONOがある。都をどりも大いなる財産に違いない。オリンピックに限らず、インバウンド用のエンターテイメントについては、日本のプロデュース力を結集できるか、どうかだ。


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プロフィール

星野 和彦

Kazuhiko Hoshino

1931年 9月17日 東京に生れる。
1954年 成蹊大学政治経済学部・芸術社会学コース 卒業。
1955年 旧帝国劇場文芸部 所属。
1958年 テレビ朝日(旧NETテレビ)制作局演出部 入社。
1960年 フランス・パリ・ムーランルージュより演出として招聘される。1年間滞仏。
1961年 テレビ朝日復職。
1968年 テレビ朝日制作局チーフ・ディレクター、企画室ブロデューサー を最後に退社。
星野演出事務所 設立。代表取締役 就任。
1973年 クリスチャン・ディオール取締役 就任。
1975年 SKD松竹歌劇団 演出就任。
1977年 東京フィルム・コーポレーション 取締役。
1980年 リード・ファッション・ハウス 代表取締役 就任。
1990年 軽井沢に居を移し現在までフリーの 演出家、プロデューサーとして、また執筆活動に従事する。
現在
日本映像学会 民族芸術学会 所属
テレビ朝日 社友
星野演出事務所代表

作品受賞歴
1953年 芥川竜之介作「仙人」第二回世界国際演劇月 文部大臣賞
1967年 連作みちのくがたり「津軽山唄やまがなし」芸術祭奨励賞
1970年 連作みちのくがたり「鹿吠えは谷にこだまする」芸術祭優秀賞
1971年 ミュージカル「白い川」芸術祭文部大臣賞
1992年 NDK日本ファッション文化賞


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